「羹」・・・この漢字、和菓子がお好きな方なら、馴染みのある文字ではないでしょうか?
例えば、ようかん(羊羹)といったように。
当店でも、夏の和菓子として、上の写真の「みぞれ羹」や「夏涼み羹」といった
名前のお菓子があります。
もともと、この文字は「あつもの」と呼ぶようです。つまり「熱物」・・・
古くは中国で、魚や肉、野菜をいれた熱い吸い物を指すようですが。
また「羹」は羊に美しいと書けますが、これは「煮た子羊」+「美味しい」から来ているとか・・・
では、なぜ和菓子に羊羹と名付けられたのでしょうか?
食べて熱くもないし、また、羊の肉も入ってないのに(当たり前ですね)。
ここから、少し詳しい(固い)話になります。
そもそも羊羹とは、やはり羊の肝の「あつもの」だったようですが、のちに中国では、
羊肉に黒砂糖を混ぜて作り、日本には、古く禅宗文化とともに渡来しました。
当時の日本では、肉類の食用が禁じられていたため、羊肝餅(ようかんもち・・)といって
小豆を主原料として羊の肝の形につくって蒸し、汁に入れて供され、
仏前にもお供えしていたそうです。
後に、蒸し物のまま茶菓子として供されるようになったのが蒸し羊羹の始まりで、
今日ふつうに見られる、練り羊羹は、安土桃山時代(一説には江戸時代)に
作られたのだということです(ここまで読んで下さった方には感謝いたします)。
固い話はここまでにして、さぁやわらかくて冷たい「みぞれ羹」でもどうぞ。